中秋の月/吉岡ペペロ
画廊でブラマンクやユトリロやルオーを眺めた
地下鉄と環状線を乗り継いでやってくる女を待っていた
待ち合わせ時間が迫っていた
しかし慌てて地下駐車場に向かった
ダッシュボードからコンドームを四つ取り出した
すぐそばで白いプリウスが駐車しようとしていた
なんだか進化したゴキブリのように見えた
暑かったわね、
でも、もう残暑じゃないよ、
え?
光が当たっているところ以外、もう暑くないじゃないか、
女の何気ないひとことを否定するような言い方をしてしまった
これは劣等感の裏返しだろう
この恋愛もいずれ失うことになるのだろう
なのにおんなじようなことを繰り返していた
永遠なんて
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