見せかけの水/吉岡ペペロ
ぼくは弱いにんげんだ
だからこころをあたまで処理する
でもそれは
フタをしているだけのお話だ
加圧しているだけのお話だ
300℃でも沸騰しない見せかけの
ぼくは水にすぎないのだ
最愛をうしなうとき
幾種類かのフタを思いうかべる
そのどれもが永遠に見当たらない
見知らぬ町にさくらを見つめる
ぼくは死者の目になって
生きるためのからくりを探している
ぼくは弱いにんげんだ
だからこころをあたまで処理する
でもそれは
フタをしているだけのお話だ
加圧しているだけのお話だ
300℃でも沸騰しない見せかけの
ぼくは水にすぎないのだ
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