激しい桜/吉岡ペペロ
 

長崎に着くと雨に降られた

道に迷い倒れ込むようにして部屋に入った

さっき居酒屋で着信があった

もう五年会わない東京の女からだった

再会をやくそくして電話をきった

つぎの日仕事を済ませそれから神戸に戻った

あれからちょうど一年

あのころ海老蔵はまだ殴られていなかった

ビジネスはクリーンエネルギーにうかれていた

ともだちの新居にはウンべラータを贈り

激しい桜は風に吹かれずにいた

まだこんなに悲しくはなかったのだ
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