はじめてのラブ/吉岡ペペロ
はじめてのラブ
さっきふっと最後の試合で
二塁打を打ったときのことを思い出した
疲れているのだろう
肌にしもやけのような跡ができている
かさかさしているような気もする
じぶんを蝕むものを見つめている
そんなときだ
高校野球さいごの試合を思い出していた
二塁を踏みガッツポーズをちいさく揺らした
海岸を息もできないような風のなかを
仲間たちとユニフォームで走り続けていた
あのころ恋などしていたのだろうか
初恋のような胸のうずき
悲しいのか
懐かしいのか
セカンドベースを踏んでいた
海岸を仲間たちと走っていた
胸がうずいていた
悲しいのか
懐かしいのか
なにかを諦めているのだろうか
なにかを達成したのだろうか
なにかを繰り返しているのだろうか
初恋のようなうずき
はじめてのラブ
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