夕日の手のひら/吉岡ペペロ
 

てがたは朝には消えていた

ちいさなおおきなお尻には

夕日の手のひらが浮いていた

それが一眠りしただけで

おんなのからだから消えうせていた


てがたはだから愛ではなかった

愛ならば

もっとのこっているはずだった

欲望でもなかった

欲望なら

死ぬまで消えるはずがなかった

たぶん快楽だった

快楽とは

いっしゅんの落差のことだから

愛と欲望のあいだを往還する

打擲という落差

おんなにもそれを感じてもらいたかった

でないと嫌悪にとりこまれてしまいそうで

おとなになってからの吃音のように

にどとは戻らない愛であるかも知れなかった

それこそが純情であるかも知れなかった


てがたは朝には消えていた

ちいさなおおきなお尻には

夕日の手のひらが浮いていた

それが一眠りしただけで

おんなのからだから消えうせていた
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