脱走/吉岡ペペロ
中二のころ収容所から脱走した
それを手引きする職員たちがいた
彼らは所内の精神科医と組んでいて
じぶんたちの理想を僕を使って実現しようとしていた?
理想といっても収容所に限る世界
ボーリングの球の搬入日だった
僕はトラックを奪ってそとに出た
警備員をひいたとき
彼のくわえ煙草がスローで飛んだ
紙だけで学習した範囲を運転は超えなかった
気味がわるいほどだれも追ってこなかった
収容所のなかよりも死のイメージが濃くなった
どこにいても大切にはされなかった
風景に異質の火の帯が現れて爆発した
たまたまそこに居合わせた感じがした
僕はクラクションを押しっぱなしにして
舌をだらんとだしはじめてじぶんを大切にしようと思った
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