底なしの夜/水島芳野
 

ここは迷いの森で
進んでいるのか
遠のいているのか
それさえもわからないような
途方もない夜に包まれているんだ

君とつないでいた手なんて
簡単にほどけた。

それでも行くしかないんだろ
両の手に余るほどの問題を抱えて
泣きじゃくりながら
それでもあなたは、「行け」としか言ってくれない

僕のちっぽけな体に収まりきらない祈りは
捨てることすらかなわぬまま
ぶくぶく膨らんで、破裂しそうだ

見上げた星つぶは突き刺すようで

守りたいのに、守れずにいるから
こんなにもこの涙が
あたたかい。

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