群青に突きつけたペンダント/吉岡ペペロ
 

会社からの帰り道だった
ヨシミは歩道橋から群青を見つめていた
自殺する気などないのに死ぬならいずれこんな場所だと思った
じぶんのカルテ、
群青を見つめているとじぶんのカルテを見つめているようだった
いのちのカルテではない、たましいのカルテでもない、もちろん体のカルテでもない
ヨシミはそれを精神のカルテだと思った
見えない世界のことを考えていた
それを自殺というのなら自殺にちがいなかった
ヨシミはカワバタから貰ったペンダントを群青に突きつけるように投げた
そしてじぶんを投げるとしたら足でだなと思った




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