虚無の風/
吉岡ペペロ
耳鳴りだ
またあの耳鳴りだ
またあの耳鳴りが
ぼくの精神に風を吹かせていた
目のまえのものが無数の風になる
どこへか向かってひゅるひゅると
無数の風が立ちのぼっている
ぼくはそれを虚無の風と呼んでいる
虚無は観念ではない
虚無は立ちのぼる無数の風のようなものだ
あの耳鳴りだ
またあの耳鳴りが
ぼくの精神に風を吹かせていた
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