宇宙遊泳 / ****'01/小野 一縷
 




黒目を搾って炭化した果汁の渋味を垂らして
滝のように濡れてゆく白い部屋を睨み
眼光の輝度を上げて透視力を発揮しろ
眼球の白に血走る毛細血管を密集させて開拓してゆく
暗室に舞い降る塵の裏側に無数に光る世界の入り口を突き抜けて
眩しさに影も生まれぬ白夜に浮いて
反転したコントラストで見下ろしては見上げているんだ
故郷の星を


・・・・・・・・・pi・・・・・  


見えますか?

  あの小さな星

・・・・・・・・・pi・・・・・・・・・


限りなく望の絶えた 闇の深さは限りなく
望郷の展望を避けるかのように
潤んだ星は 落ちながら上昇
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