高知の夜/吉岡ペペロ
情事のあと
ホテルを出て町をぶらつきたかった
春の夜風がよくなぶってくれている
高知の町にいても
坂本龍馬に思いは馳せない
川面にはさざ波がたっている
それはそう見えるだけで
ただながれている川を
外灯が照らしているだけかも知れない
ぼくはいつもそうだ
言動の真意にダイブするように
景色を見てしまうのだ
おおきなトラックがいま渡った
橋がゆれている
地震かも知れない
自意識を体感したのかも知れない
情事のあと
ホテルを出て町をぶらつきたかった
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