海路/鵜飼千代子
 

夢を見ていた訳ではない
育んでいたのだ

風を読み
耳をそばだてて
遠くの音を聴く
眼で察るのは
最後でよい

夢を見ていた訳ではない
待っていたのだ
出掛ける、
今を

──風は
  待っているだろうか

私たちは
海を 行く



2004.03.02.
初出 海嶺14号
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