四人家族のマネキン/吉岡ペペロ
ぼくは高校卒業まで叔父叔母に育てられた
母さんはぼくと妹にいちども会いに来なかった
誕生日にはお金が送られてくると叔母は言っていた
叔母ぼく妹で買い物に出かけると
きまった店でよく服を買ってくれた
その店のショーウインドウには
顔のない四人家族のマネキンがあった
マネキンのこどもの着ている服が魅力的で
妹はそれを欲しがることが多かった
ヒロもこれにする?
叔母がぼくに目配せをする
ぼくが少しでも嫌なそぶりを見せると
妹はくるったように泣いた
叔母がマネキンの母親役の服を買うことはなかった
ぼくは叔母が本当の母さんではないことを
そのたびに思い知るような
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