懐中旅行/笠原 ちひろ
古いきりんのゆめをみる夜
鏡の中のわたしと目があう
このおんなのこと
なんにもしらない
フィクションと
ノンフィクションが混じりあい
胸のうちには回遊する人魚
魂の計画なんてものがもしあるのなら
それに耳をすまさなければ
ひとは病んでゆくね
だから
ナビのスイッチをオフにして
うろつく犬のあとでも追跡しようか
導かれる場所がおなじなら
道行はたのしいほうがいい
耳をすませていれば大丈夫
みちみちみつけたきらきらを
ポケットいっぱいつめてみたら
ひとつたたけば
ビスケットとメロディ
はなうたうたいながら
きりんに会いに行く
のびやかな旋律に
あたしは知るんだ
このおんなは
こんなふうにしたかったんだ
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