Kanade/見崎 光
 

いつかの
この声の奏で
ふと思い
蘇る“きのう”は
年月の瞬き

辿っては返り
佇んでは戻り
リズムだけが進む

誰かが美しいと言った

言葉を追いかけて
想いを重ねて
メロディーに乗せた
いつかの
この声の奏では
反響するざわめきに飲まれて
時空を泳ぐ

誰かがやっぱり
美しいと言った

奏でられるものは
少ない方がいい
どの歌もノイズ
この声が届かない限り
誰かでは意味を持たない震えを
感じて欲しかった、いつかの
あの声の奏ではもう
喉の奥で眠ってしまった

それでも誰かが
美しいと言う
愛を枯らした声の奏でを…




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