花残月の思惟/
夏嶋 真子
放たれた密使の矢
固執する月の心臓をえぐる
(月は考える 空に浮かぶものを)
中空のノエシス
無想のノエマ
天蚕糸をはう蛇が赤と交わり
花残月を思惟に染める
(白は考える 赤について)
純粋のノエシス
有罪のノエマ
春の輪舞を横目に悍ましい鮮やかさで
キメラの紅は生まれ落ちた
(花は考えている 考え続けている)
邂逅した、
邂逅する、
邂逅の果て
腐乱して蔑まれる赤の断面から
匂い立つ薫香
最も尊く
最も優しく
この瑠璃星をつつむ
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