エアポートは曇り空/吉岡ペペロ
エアポートには感傷的なものがない
暮らしのなかにそれはないからだ
曇り空だけがちょこんと光景に座っている
仕事先が
大連であろうと
シカゴであろうと
名古屋であろうと
僕じしんの
能力や性格が変わるはずもない
どこにいたって
それなりに死と隣り合わせだ
未来という思考のなかで
生きることばかり考えている
飛行機のエンジン音が高くなると
カウントダウンがはじまる
いったいなんの
カウントダウンがはじまるのだろうか
エアポートには感傷的なものがない
暮らしのなかにそれはないからだ
曇り空だけがちょこんと光景に座っている
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