悲しみと祝福と/吉岡ペペロ
ホテルに荷物を置いて
もうすぐ日がかわる外に出た
この土地の名物だという料理と
この店でねかせた果実酒をたのんだ
サービスだと言って
小ぶりの林檎と小ぶりの茄子がでてきた
よくしゃべる女主人だった
勘定は倍くらいとられた
あったかくなった体が
ちょっとだけ引っ掻かれたようだった
朝はレンタカーで企業に出向いた
窓からの風がさむかった
つんと胸が悲しくなった
風が横にながれて
なにかに
祝福されているような気もした
おなじ季節でも
神戸と秋田じゃこんなにも違うんだ
秋になるまえに体が
ひと足さきに引っ掻かれたようだった
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