【パラダイス イズ ノット ヒア】/
檻野楴人
まばたきしていたね
君は信じられないような口振りで
「嘘」と呟いた
俺は嘘つきだからね
信じられないかもしれないけど
いましがた君が信じようとしなかった言葉は本当
喫茶店の珈琲の中をぼんやりと見続けて
時間ばかりが過ぎていったね
そうだよ
君のためにとっておきの嘘をつこうと思ったのに
俺は何も思いつかなかったんだ
さよなら
そして、いつかまた
東京で
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