【不在のエンブリヲ】/檻野楴人
 




さんざめく夜の淵


孤独は口笛を吹きならして


引力の釣り合いの取れない


夢ばかりみている



セメントの冷えきった童話と


律義に回る天体の中を


居場所がない、居場所じゃない、と


生まれたての宇宙飛行士が


ぷわぷわ浮かんでいく



崩れそうな水泡のように


ちっぽけな理性を抱いて


どこまでもどこまでも


ぷわぷわ浮かんでいく




どこまでも?




きっと遠くにはいけやしない







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