残存/見崎 光
 

わずかに残る雪の側で
ひっそりと春を告げる花
小さく纏まってゆく姿に刹那を抱き
精一杯の可憐を刻む


この雪の
命と共に消える花
残された時間を数えるような眼差しで
そっと寄り添い咲いている


繰り返される四季の風景に
また一緒のトキを飾りたい、そう
葉は小雨の空を仰いでいた


強い風が吹く
滴を吸い上げるように
残されたわずかな時間を
停めるように
祈りを掬ってゆく




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