ひとにぎりの/小原あき
 


ひとにぎりの世界しか生きていなくて
端と端が繋がって
わたしからは
到底、端が見えない


いつの間にか
周りには繋がりだらけで
端にいないわたしたちは
宇宙の端が見えなくて
宇宙は永久に延び続けている、と
錯覚に陥る


錯覚は事実にも成り得る
ひとにぎりの世界が
刹那にして
誕生している


さっきまで見えなかった晴れ間が
今はきちんと覗いているように




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