夢の華/見崎 光
面影の降る冷たい夜が
頬で溶け始めた頃
銀河鉄道は
子ども達の寝顔を乗せて
空に昇っていった
星の麟粉を散りばめながら
ゆっくりとゆっくりと
滑車を回して
月へ昇っていった
影を伸ばしていく汽車の夢飛行
澄んだ瞳で
いったいどんなことに
出会っているのだろうか
時折うかべる笑みが
白さを増して降りてくる
鈴の音は
まだまだ先の楽しみなのに
今にも聴こえて来そうな美しい夜
子ども達が遊び疲れて
再び眠りにつく頃にはきっと
夢のカケラが
辺り一面を埋め尽くして
銀河鉄道の秘密を
教えてくれるだろう
面影追いかけて
頬を濡らしても
柔らかな雪はやまない
静かに降らせた夢だから
そう、子ども達が浮かべた笑みだから
銀河鉄道はあえて
大人達の疲れた肩に運ぶ
目覚めと共に触れる
どこか懐かしい高鳴りに
何かを取り戻して欲しいから
寒い朝
目を丸めてはしゃぐ子ども達
真っ白な道に足跡をつけて
夢を詰め込んだ
負けじとわたしも
軽くなったそこに
たくさんの愛を
詰め込んだ
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