美しき死/
風音
その色鮮やかな蝶は
夏日に照らされ
美しいまま
けれど
完全に死んでいた
きっと
生きている時は
甘い甘い蜜を吸い
葉影で雨をしのぎ
やわらかい草の上を自在に飛び回り
夜は木にとまって休んだのかもしれない
私はそっと蝶を跨いで
先を急いだ
その死の冥福を祈りながら
その美しい死を悼みながら
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