あなたであるもの あなた 息の源/木立 悟
苦しみと悲しみふたつ慣れすぎて触れるときまであなたを知らず
骨と骨あたらぬようにかたち変え心と肉の汗ばむ出会い
苦しみとよろこび混じるあなた色こぼれる珠のひとつひとつが
火に触れた水のようにふるえゆくあなたのなかに果てしそのとき
狐火の点いては消えるそのままに到(つ)いては揺れる我が黒き指
風が吹くからだとからだの隙間には雷(いかづち)匂い渦まいている
近づけば近づくほどに遠去かるあなたの声と眉を見ていた
あなたからあなたであるもの打ち寄せる冷たく熱い息のみなもと
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