ぼんやりカーニバル/ふもと 鈴
曲線を描く黒髪いつの間にけたたましく鳴る風平行線
太陽の光を点で結んでは指に集めて舐めいる残暑
白鳥の飛び立つ様を物語る神の白髪結えし因果と
草かげで鳴きあう猫に呼ばれてや境界不明の現実が減る
三日月が出るたび泣き出す少女からうさぎ死んだと哀しみ飛んだ
椿種転がる音に呼吸死ぬ手で拾ひたるはつまり恋種
ノクターン響け箱式ピアノ線二重写しの指の幾何学
緊張に耐えられないから一人また牢獄狂者の物まねに富む
唄による二人言に憧れて灰色少女モノトーンのいたずら
海鳥が失いし羽根四六十水面に水泡騒がしく鳴り
ぼんやりと輝けるでもない太陽に刹那主義者のよだれしたたる
カーテンの向こう側
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)