【短歌祭参加作品】あしたも夏でありますように/本木はじめ
 


かつていた冷凍都市を思い出すような小説書いている初夏


再放送されてる温泉番組を観ているぼくを見ているかか氏


転校生だったあの子は元気かなどおんどおんと胸打つ花火


海岸で貝の欠片をひろうひと二度と消えない足あと胸に


絶好の秘密基地だとはしゃぐ子ら蚊取り線香工場跡地


美はそして短いほどに愛おしい流星群の群も孤独で


お中元届けるべきかこの青い海へと飛び込むべきか八月


どれだけの宿題ぼくは溜め込んできたのか未だにわからない夏


すくわれず川へと流す赤い花、金魚すくいのおじさんと犬


扇風機廃品置き場に捨てられて風
[次のページ]
戻る   Point(14)