雨と兆し/木立 悟
 


雲間から陽の動く音ふりそそぎ立ちどまる水ふりかえる水



風が開け風が閉ざせし穂の声の微笑むように消えゆくを見る



むずがゆくめざめしものへ吹く風が窓のしずくに描く銀の葉



去る雨と去る雲のうたはばたいて飛び交う虹のしたたりを聴く



旗の影ひとつはためく風の果て翅と羽とに分かれゆく影



水底の音たずさえて我が前に語りはじめる午後のくちびる



まなざしの出で発つ方へ降るしるし雨の行方に到かない声



つむる眼に降り止む声に触れる手が水を兆しを越えてかがやく









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