空病み/ソマリ
 
この部屋の外を知らずに咲く花へ異国の水を注ぐ夕刻


蝶の背に針を刺すのを嫌がれば夜の間に逃げてしまうよ


不安だけ夢の中から持ち帰る見開いた目に焦げる黄昏


触れられるために生まれた楽器たち無人の部屋で狂い始める


カーテンで防ぎきれない光なら暴かれるまま晒されるまま


君が手を空へ伸ばした病室がアクアリウムになる水没日





戻る   Point(11)