午後と迷い/木立 悟
 





地の水と空の水とが出会う日を見つめる涙ひとりの涙




ふりむけば道は草木に沈みゆく路なき路と手をつなぐ径




木蓮と鳥が同じに見える子の笑みと踊りに降りそそぐうた




裏径に手の甲の傷かがやいて昼なお暗き川ばたをゆく




まぼろしをひとつ剥がして置いておく流れのはざま光のはざま




人肌の行方は知れず背のほうへ伸ばした手首しずけさを聴く




風が咲き雲と雲とを離すとき乱れし鳥と霧雨の声




中庭を幾度もなぞる陽の指の迷いは淡く迷いは深く











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