光と指/
木立 悟
一度だけ夜を飛べない夜がある冷えた灯りのはばたきの道
降り来る火誰がおまえを責めようか燃えくずれつつ書きとめる日々
しあわせを感じたとたんしあわせは遠くの指にからめとられる
夜になり思い出すのは鳥と星わたしから去ってゆくものばかり
奏でるか奏でられるかわからずにけものは歩む無弦の夜道
幾拍か眠りは背(せな)に届きゆく自身が消える夜の終わりに
すぐそばを波紋は通り過ぎてゆく姿を持たぬ明るさの指
漕ぐほどに風と同じ色となる金の枝つみ進みゆく舟
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