butterfly/本木はじめ
如月や黒いソファーに横たわるあなたの影も微笑んでいる
ゆく船のゆくえわからぬまま岸でぼくらが録音されていた夏
ケイタイを缶コーヒーのように振るきみはまだまだ宇宙に鳴れる
輪の途中つかめばさわぐ胎児たちはじまることを拒み続けて
髪型がいつもと違うきみの名を問えば無数の孔雀の怠惰
酔ったきみ思い出しつつ笑うコインランドリーから帰る早朝
円陣の外で少女が放つ蝶あるいは古き聖書の栞
コンタクトレンズ落下すきらきらときみが指差す空を見た冬
僕たちの詩性はすでに痙攣し停滞しているだろう三日月
失ったものに「再度」を禁止し
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