遭難/
本木はじめ
手のひらを組んで祈りのかたちなら無人の廃虚に風だけが舞う
街中にひかりあふれてもう星は絵本のなかでまたたくばかり
羽根はもう風にさらわれ剥き出しの骨をひろげるだけの桜木
ロンドンの、パリの、カイロの、モスクワの、ひかりはすべて違うのだろうか
いつの日か違う星座となるだろう燃え尽きてゆくオリオンの腰
夜になれば何も見えなくなる鳥の瞳の底でひかりも眠る
階段を駆け上がる音やがて消え今日も誰かがイカロスとなる
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