しあわせと冬/
木立 悟
伝わらぬ想いは水に成り果ててかたち失くした器かなでる
しあわせの過ぎる時刻もわからずに待てど狂えど来ぬものは来ぬ
冬空の鉄は緑に手は鈍に雪から生えし機械は銀に
左目の奥だけ青い冬道に触れるまもなく消えるぬくもり
氷から氷へ至るしあわせが照らす夢もまた照らされる夢
手のひらのかがやく海を放つとき生まれし鳥の白きくちばし
雪は澄み鏡に変わり映し出す嘘と涙の果てのしあわせ
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