夜の声/木立 悟
「あの光、鉄に運ばれ折れ曲がる!」(聞くともなしに?)「聴く友無しに!」
行方には何も満たない満たせない欠けた器がただ響くのみ
赦されしこの道のりが生なのか幸せ捨てて呑む酒もある
ヒトからは見えぬ血の色とどろかせ「祭はどこに?」「祭はここに!」
夕暮れの斜めうしろの緋の痛み光が光に集う夜へと
カタカタとカタカタと音は聞こえくる呪いという名の希望打つ音
「帰ろうよ」声にそむいて(進もうよ)あなたではないわたしの源
転げないからだで砂を踏みしめてうつむきながら進むこの夜
転げない転げはしないこの脚は血を流しゆく楔の軌跡
またひとつ冬を越せし紙切れはわたしの胸に濡れし紙切れ
「野をゆくな!遠き水辺に至るなら」わたしをひとり歩ませる声
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