【贋作】『サラダ記念日』/藤原 実
【贋作】『サラダ記念日』
女宛送る手紙に『友情論』を引用してるだあれあなたは
愛告げてしまいたけれど遠景の似合うあなたをしばらく惜しむ
「その歌はよせよ」と君がぽつり言うこの曲と決めマイクもつ吾に
愛ひとつ受けとめられず泳ぐ君太平洋も花いちもんめ
さっきまで鏡にあった抽象画 誰の泣き顔?知らない知らない
愛人でいいのとうたう歌手がいて 愛したいの?愛されたいの?
言の葉の裏を返して見てみたい 時には長い手紙を書いて
一プラス一の答えにたどりつくまでの迷宮なのか人生は
クロッカスの花閉じる夜に愛されて「今日のことは忘れない。明日までは」
立ったままバーガーショップで自由は眠る一所不在の待ち人として
左手でジグソーパズルの最後のピース置くように言う さよなら
そら豆のはじける音で思い出す 一分間だけ眼を閉じてみる
戻る 編 削 Point(3)