封蝋/藤原 実
 
   【封蝋】


 僞學生に燭の炎(ほ)昏し落椿舞臺衣裝の襞のモノロォグ

 蝶焦がし新鮮な眸と漆黒の爪もつ淑女へ招待状

 剃刀を舐め舐め紅つけし女は薔薇のごとく浴槽に沈む

 われ葬(はぶ)る朝縊らるる者等欲し街角より少女二三人

 馥郁たる脳髄ふかくほろびつつありわが王國と誘蛾燈


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