夏歌とて/
藤原絵理子
たまさかにあひ見しきみが声づかひことなしぶるや見初めしがごと
風たえて葉のおとづれもしづまりぬ待つまきの戸にむせぶひぐらし
ちぎりしもあき立つ風にうつせみのよしなしごとと変はり果つらむ
忘られて夏はてぬともたのむかな夜なく蝉の声ぞかなしき
世もふれば蝉のこゑすら絶えにけりあきのほのめく苔のうは風
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