TODAY/本木はじめ
 
追い越してしまえばすべて思い出となりゆく柱の背比べの跡


お花見に行ったせいだと返される昨夜のゆめの桜色のわけ


例えようとしても例えることできぬ僕らひとつの真実として


遠くまで連れていってよ自転車のぼくらが遠い夏の畦道


下降してゆくばかりなりぐるぐると春の階段あなたと落ちる


環境が違えば違う恋もあるあなたとわたしの娘はいない


透明な世界なんだねぼくはただ思い出された時にたたずむ


水源地めざして歩くぼくたちはいつしかそこで出会うのだろう


掘り起こす恋の死体は腐乱してところどころが思い出せない





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