ノート(鳥)/
木立 悟
不安げに緑を歩む鳩の目がふと振り返り鴉になるとき
手のなかの鳥の器に降る震えこぼれゆくままこぼれゆくまま
いつわりの光の模様の窓をゆく姿を持たない鳥たちの列
河口から空の底へと落ちてゆく水に映らぬ鳥のはばたき
ひとすじの光が鳥を描いている朝のこがねの届かぬ暗がり
木を鉄に鉄を木にする光へと鳥の器を置いてゆく午後
横たわる鳥の片目に鳥は居て空ゆく鳥を見つめつづける
もう誰も住まない家の隣にはにぎやかな声鳥を呼ぶ声
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