冬と春/木立 悟
自転車をこぐと水車の音がする流れを馳せる冬と春の背
午後の陽の光と音のお手玉が言葉に変わる冬と春の手
こぼれゆく言葉は道にかがやいて見つめつづける冬と春の目
午後の背を去りゆく真昼の歌もある行方に満ちる冬と春の日
ひとときの滴とかけら散り咲いて金の手の春銀の手の冬
春からも冬からも火は現われて道を流れる言葉ゆらして
窓あかり灯されるたび遠去かる枝に重なる冬と春の手
むすぶ手がいつかはばたく日が来ても冬と春は歌いつづける
雲駆ける冬の姿を知る春に光と音のお手玉は降る
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