表面張力で夢をつくりながら詠むうた/秋
浴槽の壁にじいっとしがみつく表面張力、こわさなければ
義務感の果てに潜んでいる果実「柑橘系なら舐めてもいいよ。」
すっぱくてにがくてあまくて最悪のあじだったってしらなかったの
その辺の床に転がる飴玉の包み紙さえ剥がせない夜
飴玉を溶かせる温度を知っている? あたしのからだの温度なのかな
ビニイルに包まれている砂糖水ポケットに入れコンビニ行かなきゃ
「安っぽい拡がるひかりを売っているコンビニでならしゃがみこめるよ。」
折り曲げた膝小僧には白色の絆創膏の跡がついてる
つっかけたサンダルだって隠せない赤色の爪にしがみつく水
何食わぬ顔して手から滑り落とす小さなビニイル「砂糖の音、した?」
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