ノート(道)/木立 悟
 



この道は誰が奏でる笛なのかさみしいばかりかなしいばかり



雲のない空を見上げて歩きゆく光を知らぬ光の穂の道



はたはたと星をつかんだ曲がりかど野をわたる声ふりかえる道



踏切のむこうの熱とガラスの手すりぬけてゆく夜と火の道



のぞみ無きのぞみの声に身をさらし応えるままに凍えゆく道



空をゆく魚の群れから銀は降る水底積もる水紋の道



雪の上つづく足跡けだものと子らの歩みを見つめゆく道







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