「夫の居る風景である厨房の片隅にだけ描かれる吾」 七首/
もっぷ
帰る家は夫の独身部屋のままゆえに迷い猫のような日日
蝉たちの歌を覚えぬ朝が来て夫の書棚にサキを見つける
厨房はわが城というわが夫にわかってほしいのサルモネラ菌
夫はいまチューハイ抜けて出勤すクールな戦士となりて手強し
この痛み気の持ちようだと言われたら有り難いのに明日歯科医院
サルスベリ最後の花が消えている秋の暦は手を振っているよ
鳥の声カラスばかりでない国のエトランゼかな さよなら23区
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