夢中遊行/本木はじめ
振り向けば見慣れぬ田園地帯からぼくに似たきみ空を呼んでる
青空を描き続ける画家としていつでも眠るときも仰向け
ゆびさきに雪のひとひら落ちてきて京都は違う明日を生みます
落石に道路くずれて僕たちは地平線からあきらめてゆく
目を閉じて歩く森ですあこがれは光り続ける蛍のように
すれ違うふたりの出会い可能性不可能性を思う歩幅で
無言電話のごとく姿を消すきみの全身ひとつの傷痕として絶つ
ゆっくりと固まらぬままうねりあうコンクリートのようなれんあい
ただここにおれとおまえがいることで世界が滅びてしまうかもとか
話してる花々たちのかたわらでやがてすべての砂はこぼれる
くもりぞら描くみたいにうつ伏せて蟻の行列にじかん見てた
目を閉じてねむりに落ちるひとときの複数形のきみの輪唱
仰向けで倒れているきみ抱き上げて世界が消えた荒野をさまよう
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