木曽路より伊那に/生田 稔
木曽路より伊那に
湖の大津市を出て今日一日景色を眺めかく歌にせむ
クリスチャン五十年瞬く間過ぎ神信じても人は儚し
車乗る四人はみんな信仰にいそしむ人にありにけるかも
話し合う会話の中に富士の山、京にて見ゆる日あるとかや
トンネルをいくつも通り木曽路には紅く色づく山野ありける
木曽路きてそばを食べけり妻友と二段そばなり田舎味なり
伊那広し眼前に開けるこまかき家屋無数なり
雨降りの伊那の街路に親しみて田畑の中の路走りゆく
妻とともゼリー幾つも食べてみていささか買いて店出てゆく
雨激し天に運おきかくかくに八十歳を生きにたりけむ
山並みがつづく山道伝いつつ軽四輪の吾らが車
神無月末日の旅夕暮れて日のさす道を辿りたりけり
伊那に来て二日泊まりて去る家にさいわあれと祈るのみなり
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