ロマンス係数X/初谷むい
絵みたいな笑顔だったよ午後四時に染まったぼくらの玩具の手錠
騙されるのもいいねってきみが言う 野球部とすれ違う うそつき
最後かもしれない名前を連呼する北18条駅でロマンス
ウイルスのように欠伸をうつしたい抱擁するには距離が足りない
きみが口開いて笑う穏やかにさみしくなれる 聞いて、雷鳴。
届かない言葉としての心臓だ 触れない背中に浮かぶ汗染み
ごめんって意味もなく言うくらがりの耳殻に赤く透けてる明かり
観覧車立て籠もりたい宇宙一またたくハイジャッカーになろうよ
快晴がつくる逆光きみの名を一生覚えている気がするな
戻る 編 削 Point(4)