冬のほほえみ/
本木はじめ
石炭を掘りし祖父らの手のひらにひとすじ青き川の流るる
コーヒー店ここにあるぞと言う父の初恋よぎる遺伝子の夢
をさなごと眠る畳に健やかな妻うつくしき秋の遊具も
弟は真夜中銀河鉄道に眠る夢です それはまばたき
単純な空に見出す幾千の雲や千変万化のこころ
きみに似た呼吸をしている花だから摘み取ることを厭うてのひら
手身近なものをまといて暮れてゆくいついつまでも遠い胸元
残されて選ぶ道などもうなくてこのまま冬のほほえみとして消ゆ
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