猫のひげと春/梅昆布茶
 
猫のヒゲふるわせてとおるやんちゃな風の春

春の音木の芽の薫り日向に干したせんべい蒲団

いいことがあったのよと三度目の電話僕にはないけど

分解された春をまた組み上げるそんな季節のちからがすき

沖をゆく春を眺めているきみの風にそよぐ産毛が光る

研ぎすまされたドリルの刃先に僕のセンターを決めてもらおう

数値制御の機械だって誤差はある僕はましなほうさ

猫のひげ切って悪戯したのはぼくの友達ほんとうはやってみたかった

笑顔をありがとう付箋に可愛くうなずく少女のホワイトデー

風ひかりすべてのいのちをゆるませて春の言葉のつよさをおもう

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