2013→2014/魚住蓮奈
耳鳴りよとおい世界の渦巻よ花降りやまぬ春は まだか
吐瀉物もわたしだったということを忘れてしまいそうになる朝だ
動脈のあたりに鴫がたっていて今年最後の日曜日、はれ
ひとつずつやりたいことが消えてゆきるゐるゐるゐるゐ登る坂道
あ、虚無。と句点を打てばこのゆびにまといつくあたらしい重量
なんてあかるいみずうみだろうナパームに焼かれつつ舞う薄羽蜉蝣
本年も許してほしいひとたちがすっぽり嵌るくつしただろう
ゆうがたが頭ごなしに攻めてくる文庫本ではとても足りない
分岐点切り替えレバーがすきでした(ぼくとはつまり脳みそである)
夕暮れがすごい速さで落ちてきて少年兵の性器をおもう
今朝もまた各駅停車が訪れる手際の悪いギャングみたいに
潮時はつめたい足をしているかわたしの足をさっと掴むか
ティンパニを草萌える野に置いておくただしくなりたい人は叩いて
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